濃いも薄いも数ある中に

お仕事の関係上、童謡を歌うことが多いのだけれど、最近、童謡って良いなあとつくづく思う。
言葉の一音一音に無駄がない。全てがきれいに揃っていて、端的で、すごく気持ちが良い。
あと、ちゃんと四季があるのです。それがすごく良い。
もう記憶障害が進んでいて娘さんのお顔も覚えていない認知症のおばあさんがいらっしゃって、その人の訓練をしていたのだけれど、今の季節もわからない方なので、訓練中お話していて季節を感じて欲しいなあと思ったのです。それで、どうしたらいいかなあと思って今日は天気が良かったので、庭に出て、「秋の夕日に照る山もみじー」っていうあの秋の歌(曲名わからない)を歌ってみたら、徐々に一緒に歌ってくれたんですね。で、「わー!」と思いながら歌って、歌い終わったらその方が「あー秋やねえ」と言ったのです。普通に何もなく過ごしていたら季節もわからないけど、外に出て童謡歌いながらしみじみと「秋やねえ」と感じてくれた。
何かそのとき「日本に四季があってよかったなー」とか「童謡があってよかったなー」てすごい思った。
認知症の人に何をしたらよかろ!と思うこと多々あって、からだの機能も維持していかなくちゃならないんだけども、それって何のためなのーという自問自答もあるのです。
だからせめて何か一瞬でも「天気がいいなあー」とか「秋だなー」とか感じてもらえれば、きっとそういう瞬間てすごく気持ちが澄みやかになるというか、晴れ晴れと何となくしやわせになれると思うから、そういう瞬間をちょっとでも作りたいなと思った。改めて。

童謡て皆歌えるし、気持ちが明るくなるのだよ。「あめあめふれふれかあさんがー じゃのめでおむかえ 嬉しいなー ピチピチチャプチャプランランラン!」とかね、最後の「ランランラン」のわくわく具合ったらないしね、そらピチピチチャプチャプしたらランランラン!てなるわな!とか思ってね、なんて素敵なんだろうと思って、今日はおばあちゃんたちと歌いながら幸せな気持ちでいっぱいになりました。