黒猫のタンゴ

小さい頃、近所にノラ猫がいっぱい住み着いた「猫屋敷」というものがありました。
そこで家主に内緒で猫をたくさん触るのがステイタスみたいな子どもらだけの決まりがあって、楽しかったんだけど、いつの間にか猫屋敷はつぶれてしまいました。
でもその後もノラたちはうちの近所をうろうろしており、たまにお腹空かせてるやつにはご飯あげたりしてました。たいがいの子はしばらくしたらまた他の「ご飯もらえるスポット」見つけて旅立ちました。
で、中学生のとき、部活帰りに黒猫の赤ちゃんが捨てられており、また近くの空き地でしばらく世話してたんですね。
そしたら何週間か経ってその黒猫はいなくなったのですけど、「あいつどっかいったなー」と思った矢先、次はうちの玄関先に前の黒猫よりもうちょっと大人のこれまた黒猫が座り込んでいました。
「おおまた黒猫!」と思いながら結構やせてたのでまたご飯あげて。そしたらそいつは次の日にはこなかったんですけど、また別の黒猫がきて。
そんなんの繰り返しで、計6匹、入れ替わり立ち替わりでほんとに黒猫ばっかりが我が家を訪れてきた頃、さすがに母が気味悪がって「黒猫にご飯あげるの禁止令」を出してからはぱったりと黒猫も来なくなったんですけど。

今でもあれなんだったのかなーと不思議なんですが、今思うと我が家は「誰も知らない穴場スポット!」みたいな感じで黒猫の間で話題騒然だったのかもしれないですね。じゃないとただの怖い話だものー。

なんでそんな話を思い出したかというと、最近うちの家にぶち猫がご飯だけ食べにくるからです。しかもその子恰幅いいから多分うちの家にたどり着く前にも他の家でご飯もらってたんだろなーと思う。しばらくしたらまたいなくなるのかなあ。


この子。写真とろうと思うと動くので耳しかとれんかった。
こういう癒しがないと世の中生きてゆけん。